
将来どういう歯科医師になろうかと悩んでいた歯学部6年生のときです。
予防歯科の世界的な第一人者アクセルソン先生の講演を長崎で聞くチャンスがありました(1989年)。
その講演を聞いたとき「歯を削って詰める時代は終わったんだ」と衝撃を受けました。
私に与えられるライセンスは、来院される方をむし歯や歯周病にかからないようにすることと、公衆衛生活動を通して地域住民の方の健康をサポートすることなのだと思いました。
将来どういう歯科医師になろうかと悩んでいた歯学部6年生のときです。
予防歯科の世界的な第一人者アクセルソン先生の講演を長崎で聞くチャンスがありました(1989年)。
その講演を聞いたとき「歯を削って詰める時代は終わったんだ」と衝撃を受けました。
私に与えられるライセンスは、来院される方をむし歯や歯周病にかからないようにすることと、公衆衛生活動を通して地域住民の方の健康をサポートすることなのだと思いました。
長崎の歯科医院で、すでに予防歯科を実践していた常岡歯科診療所に勤務できたことが、今の私の基礎となりました(1990年)。
常岡先生に「主役は来院される方々」という予防歯科的考えを教えていただきました。長崎で7年間勤めたあと東京に戻ってきて、予防歯科のスタディーグループ「フォーラム東京」に参加することができました(1998年)。さらに今村歯科医院で2年間勤務することもでき、診療室での臨床予防歯科を学ぶことができました(1999年)。
スタディーグループでご一緒させていただいた先生方は、日本の臨床予防歯科を実践されている第一人者の方々でした。尊敬できる先生方と一緒に学べたことは幸せでした。予防中心のスタディーグループに参加できた影響は大きかったです。
さらにご縁があってお手本となる先生方との出会いがあり、常に学びを得ております。
現在所属しているスタディーグループは
などがあります。これらの勉強会では症例発表をすることで切磋琢磨しております。予防歯科は、特に歯科衛生士が担当する分野が多くなります。そのため、歯科衛生士を含め、医院のスタッフ全員で勉強会に参加しております。
研修の内容などは、宇田川歯科医院ブログ『宇田川歯科医院日記』をご覧ください。
宇田川歯科医院ブログはこちら
>>『宇田川歯科医院日記』
予防歯科とは、むし歯になる危険性(リスク)や歯周病が進行する危険性(リスク)をコントロールし、生涯にわたり、健康なお口でお過ごしいただくことを目標としております。
その為には、むし歯や歯周病になる原因のプラーク(歯垢)を少ない状態に維持する(プラークコントロール)を治療目的といたします。
プラークコントロールには、ご自身で行うセルフケアと、歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアがございます。
定期健診で、お口のチェックを行うことも重要です。
むし歯ができないようにするには、むし歯になる原因を調べることをお勧めします。食事の記録、むし歯菌の数、唾液の働きなどを検査し、むし歯になる原因を取り除く「むし歯予防プログラム」を立てましょう。1歳半位からフッ素を塗り、定期健診にお越しいただくことをお勧めします。
定期健診に来ていただくことで、問題がなくても現在のお口の状態をお伝えし、毎日のお手入れの確認ができます。歯の磨き残しやご自身に合う歯ブラシの選び方、磨き方などを一緒に確認し、取り組んでいくことによってむし歯の予防をしていきます。
20歳前から歯周病予防に取り組みましょう。定期健診で歯科衛生士が担当するプロフェッショナルケアで、歯周ポケットの中の歯周病菌を少なくすることをお勧めします。
(1)歯周組織検査
検査としては専門的な器具を用い、歯茎の状態やプラーク(歯垢)の沈着具合、歯の揺れがないかなどを検査します。 この検査は、治療によって病気が治っているかを確かめるために初回だけでなく治療の節目でも行います。
(2)歯ブラシ補助用具によるお手入れ方法の確認・スケーリング
検査結果に応じて、プラークコントロールの改善や歯の表面の歯石を除去していきます。
(3)スケーリングルートプレーニング
検査の結果をもとに1回につき数歯ずつ、必要に応じて歯肉の表面に麻酔をして歯肉の中に隠れている歯石を除去します。※個人に応じた内容で治療を行うため、歯周病の進行度合いや歯石の沈着状態により治療回数も異なります。
(4)再評価
スケーリングルートプレーニング終了後に炎症が改善されているか再び歯周組織の精密検査を行います。
(5)再評価後について
炎症が落ち着いて歯周病の症状に改善が見られる部位はメインテナンスヘ移行します。しかし、炎症がまだ残っていて症状の改善が認められない部位は、患者様とご相談の上で歯周外科手術、歯周組織再生療法を行う場合もあります。
またお口の状態を確認するためエックス線写真を撮ることがあります。口内法と呼ばれる方法とパノラマエックス線写真と呼ばれる方法があります。前者は、1本1本の歯や歯周組織(骨)の状態を詳細に知ることができる方法で、上下左右と前歯と奥歯をそれぞれ撮影しますので、10~14枚撮影します。後者は顎関節を含めた上下の顎の骨の状態まで把握できます。定期検診にお越しいただいている方には、2年ごとを目安に口内法とパノラマエックス線写真を交互に撮影させていただいています。
むし歯ができた残念な歯も、フッ素を使い、予防プログラムを実践することで、むし歯の進行を食い止めることができる場合もあります。
初期のむし歯は削らずに、予防プログラムを実践してコントロールしましょう。
それでも進行してしまった残念な歯は、必要最小限の削る治療(MI治療)を行います。
残念なことに、むし歯や、歯周病で歯を失った場合には、残りの歯を守る義歯やブリッジを作ります。歯を守る治療、つまり歯を長持ちする治療は、顎の位置が悪くなることを予防する治療と考えております(顎位を守る治療)。
以上のように当院の治療は、すべてが予防歯科をベースに置いたコンセプトに基づいて進められます。
当院では唾液検査システムのSMTを導入しています。
唾液にはお口の中の汚れを洗い流したり、細菌の繁殖を抑える働きがあり、むし歯を防ぎ、清潔で健康に保つことができます。そのため、唾液が多いほどその働きが高まり、むし歯になりにくくなると考えられています。
検査はどなたでも受けることは可能ですが、むし歯が多くてすぐにむし歯になってしまうと考えられている方や、お口の中が乾きやすく口臭が気になるという方は特に検査をおすすめます。唾液も人それぞれ異なり、客観的な数値として結果が出ますのでわかりやすいです。
また測定時間が5分で簡単な検査になりますので、手間や負担がかかりません。この検査で6項目(むし歯菌・酸性度・緩衝能・白血球・タンパク質・アンモニア)を測定できるので、虫歯・歯周病・口臭のリスクが分かります。
SMTの流れとしては、3つのSTEPになります。
(1)採取(10秒間、軽く洗口する)
測定には洗口吐出液を用います。検査キット付属の洗口用水(3ml)を口に含み、口腔内全体に行き渡るように10秒間洗口するだけで唾液の採取が完了します。
(2)測定(試験紙と専用機器で測定)
洗口吐出液を試験紙に点着して専用機器にセットすれば測定がスタートします。測定時間はわずか5分です。SMTは検査当日に結果がフィードバックできるスピード検査です。
(3)結果(測定結果を患者さんと共有)
唾液検査システム「SMT」の流れ測定結果はパソコンに転送され、簡単に結果シートを作成できます。歯の健康、歯茎の健康、口腔清潔度に関する結果をその場で患者さんへ共有します。